日本ではジムで体を動かすことをトレーニングと言うが、アメリカでは絶対に言わない。
「トレーニング」は和製英語ではないが、本来の意味と日本で使われている意味とでは大きな違いがある。
その違いは単純な意味の違いではなく、日米における「体を鍛える」という意識の違いにまでつながる大きな違いだ。その部分を解説しよう。
この記事の目次
トレーニングの意味
日本では「トレーニング」を「運動する、体を鍛える」という意味で使っているが、アメリカでは「(軍隊の)訓練、(犬の)調教、(懲罰の意味合いを持った)鍛錬」といった意味で使われる。
カッコ書きの部分を見れば、あまり良い意味ではないことが分かるだろう。
「昨日、ジムでトレーニングしてきた」などと言ったら、「無理やりやらされたの?」と聞き返されるだろう。
つまり、「トレーニング」には自発的に体を鍛えるというニュアンスがない。
例えるなら、自分から自発的に体を鍛えるのではなく、軍隊で兵士になるためのプログラムを遂行させられるような、そんな外部から与えられた目的のために鍛えるというイメージだ。
ワークアウトとは
アメリカでは、体を動かしたり、鍛えたりすることを「ワークアウト」と言う。
日本では「ワーク=仕事」「アウト=外す」と捉えてしまうので理解しづらいが、アメリカでは「解決策」という意味で使われている。美しくなりたい、筋肉を付けたい、健康になりたい・・・、そんな自分の目標達成のために自発的にやっている行為なので、「ワークアウト=解決策」と言うのが一般的だ。
もちろん、体を鍛える以外にも使われている。分かりやすい例を挙げよう。
1980年代に経営不振に陥ったアメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE)では、「GE式ワークアウト」という組織風土変革メソッドを実施したが、これは業務改善案を募って現場主導で素早く具現化するプロセスを繰り返すという内容だ。
従来の上層部からの業務指示ではなく、現場の社員が自ら解決策を実行していく内容で、まさに「ワークアウト」だ。
ワークアウトには「自発的」というニュアンスが強い。
言葉と意識
「ワークアウト」の意味が理解できると、「トレーニング」とはまったく違った心構えが備わってくる。
健康上の理由でもない限り、ジムに通ったり、体を鍛えたりするのは、自分から自発的に行っているはずだ。
だが、「トレーニング」と言った途端に、「ジムに行かなければ」「メニューをこなさなければ」といった、やらされ感や義務感が漂ってしまう。
そんな気持ちでは、長く続かないし、なにより楽しくない。
もっとも、日本のジムの現状は、毎日長時間ダラダラとバーベルを持ち上げていることが多いので、まさに「トレーニング」なのだが、そんな状態ではいつまでたってもワークアウト後進国だ。
まず、「トレーニング」はNGワードと決めてしまおう。そして、「ワークアウト=解決策」と暗記しよう。
ジムに行くために仕事を切り上げるときにも、「今日はジムでワークアウトするので、お先に失礼します」と言ってみよう。
意識を変えるか、言葉を変えるか、どちらが先でも構わないが、ワークアウトに慣れてくると、動作の一つ一つの目的がはっきりとしてくる。
それがワークアウトに向かう心構えを変え、より良い方向へ体を変えることにつながっていく。
何のためジムに行くのか
残念ながら、日本ではジムに行くことを目的にしている人が多すぎる。
「ジムに通っている自分はステキ」と思いたいならそれでもいいし、とにかく体を動かせばストレスが解消するならそれでもいいだろう。
だが、本気でカッコイイ体を作るワークアウトをしたいなら、それではダメだ。
キレイになりたい、筋肉を付けたい、スポーツに役立てたい、などの目的にフォーカスして集中して鍛えよう。
自分の意思で、体を変えるためにジムに通っていることを強く意識しよう。
ジムに通う以外にもやりたいことがたくさんあるはずだ。目的がないのならジムに行く必要も、体を鍛える必要もない。
<まとめ>
日本ではワークアウトという言葉が定着していないため、「なんとなく体脂肪を落としたいから」といったぼんやりした理由でジムに通う人が多い。
だが、そんな理由でジムに通っても何の解決にもならない。
明確に「ワークアウト」を意識して、目的に集中して体を鍛えよう。
ジムでダラダラと時間の無駄遣いをしている場合ではない。
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