ボディビルダーにしてトレーナーの北島達也。
北島の体を作り上げたアメリカでのワークアウトとはどんなものだったのか?
ボディビル・ヒストリー前編では、トレーニングとの出会いから、アメリカでの本格的なトレーニング体験までを語ります。
この記事の目次
始まりは卓球部
<聞き手> 北島さんは、何がきっかけでトレーニングを始めたんですか?
< 北島 > 元々は高校の部活の基礎トレとして始めました。
僕は卓球部だったんですが、インターハイに行くような高校で、厳しい練習で卓球が嫌いになってしまったんです。
部活には自主トレ用のバーベルがあって、それをやれば卓球をやらなくてもよかったので、最初はさぼるためにバーベルをやり始めたんですよ。
すると体が変わってきて、それでトレーニング自体が面白くなってハマっちゃったんです。
成長期だったこともあって筋肉が結構ついてきたので、部活を引退してからもトレーニングがしたくて、家の近くのジムを探して入ったんです。
そこがボディビルジムだったんですよ!
当時は、「ボディビルはカッコ悪い体形にしかならない」という偏見を持っていましたね。
高校生ながらいい体をしていたので、ジムの会長に「ボディビルのコンテストに出ろ!」とすごく勧められたんですけど、「ボディビルなんかカッコ悪いから嫌だ」と今考えるとすごく失礼なことを言って、断っていたんです。
ある時、アーノルド・シュワルツネッガーの「コマンド」っていう映画を見たんですけど、初めてアーノルドを見て、衝撃を受けたんですよ!「何だ、この人は!?」と。
「スーパーマンやバットマンみたいな人間が実際にいるんだ!」って感じですね。
日本で言ったら、「北斗の拳」や「ドラゴンボール」みたいな、あんな体の人間がいることにビックリしました。
それでジムに行った時に、「あんな体になるにはどうやってトレーニングしたらいいんですか?」「あんな体になれるものなんですか?」って質問したんですよ。
そうしたら、ジムの会長に大爆笑されて、「あの人は君が嫌だ嫌だと言っていたボディビルの世界チャンピオンで、しかも伝説の6回連続で世界チャンピオンになった人だよ」と言われたんです。もう、ビックリですよ。
ジムには日本のボディビル雑誌があったんですけど、アーノルドの全盛期のカッコ良さとは明らかに雰囲気が違うんですよ。
それで、「これと全然違うじゃないですか!」と言ったら、会長が別の雑誌を何冊か出してきたんですよ。
それは会長がアメリカから直輸入していたアメリカのボディビル雑誌だったんですけど、「これがアメリカのボディビルで、アーノルドがやっているのと同じだよ」と言って見せてくれたんです。
その雑誌に出てくる人はみんな垢抜けてるし、体つきも全然違うし、とにかくカッコいいんですよ!
それで、「こんな体になれるんだったらボディビルやります」って感じで、ボディビルを本格的に始めようと思ったんです。
日本からアメリカへ
<聞き手> それはいくつぐらいの時ですか?
< 北島 > その時は18歳ですね。17歳からバーベルを持ち始めて、ボディビルとして始めたのが18歳です。
それから10年くらい日本でボディビルをやったんですけど、どうも日本のボディビルは僕が憧れていたものと世界観が違う、はっきり言ってダサいと思ったんですよね。
僕が考えるボディビルの価値観は、「腕が太くて、肩もデカい方がカッコいい」だったんですが、当時の日本のコンテストでは、脚が太くて腕が細い人が勝ったり、背中も逆三角形じゃない人が勝ったりして、何かピンとこなかったんですよね。
そんなことがあって、あまり魅力を感じなくなったので、ボディビルを止めようと思ったんです。
そこで、ボディビルを始めるきっかけになったアーノルドが通っていたジム、世界中からボディビルダーが集まるロサンゼルスの「メッカオブボディビルディング」と呼ばれているジムに行って、本物を見てから止めようとしたんです。
当時は美容師をやっていたんですが、仕事を辞めて3か月間渡米したんですよ。
10年も一生懸命やっていたボディビルがどんなものだったのか確認してから止めよう思っていたんです。
行ったら、やっぱり最初に僕が思っていたとおり、ものすごくカッコいい人ばかりがいて、しかもアメリカではボディビルがすごく人気なんですよ。
日本だとボディビルダーは変人扱いだったんですけど、アメリカではボディビルダーはモテるし、トップのボディビルダーは金持ちでフェラーリに乗っていたりするんですよ。
そして、ジムに行けば、ハリウッドスターがたくさんいる!当時は、ミッキー・ローク、キアヌ・リーブス、ジャン・クロード・バンダムなんかが普通にいたんですよ。
バスケットボールのマジック・ジョンソンもいましたね。本当に、「ハリウッド!」って感じなんですよ!
そして、そこで最も人気があるのが、ボディビルダーだったんです。ボディビルってすごいなーと思いましたね。
だた、みんながあまりにもいい体をしているので、初めは「ちょっと、これにはなれないかな」と思ったんですが、3か月もいたら目が慣れてきて「ひょっとしたら、なれるんじゃないか」と思うようになったんです。
それでもう1回頑張ってお金を貯めて、こっちに引っ越してきて本格的にやってみようと思ったんですよ。
日本とは別物のトレーニング
<聞き手> ボディビルを日本で10年やって、アメリカの3か月でスゴイと思って、それでお金を貯めてアメリカに行ったわけですね。
< 北島 > 結局、僕がやりたかったボディビルは日本にあったものじゃなくて、アメリカにあったものだったんですよ。
名前こそ一緒ですけど、日本とアメリカのボディビルは全く別物です。
華やかさ、目立ち度、モテ度、お金の儲かり具合など、あらゆる面で全然別物なんです。
それでアメリカのボディビルにハマってしまって、「ボディビルを続けるなら、ここでやるしかない!」と思ってしまったんです。
それからアメリカに引っ越して本格的になって、当時「世界で一番有名」と言われるようなトレーナーに教えてもらって、どっぷりハマっちゃったわけですよね。
<聞き手> その世界一のトレーナーのトレーニング料はどのぐらいだったんですか?
< 北島 > まあ、結構高いですよ。続けてやっていれば安くしてくれますが、何か月かの間にトータルで数百万円は払ってますよ。
<聞き手> アメリカにはどのぐらい行ってたんですか?
< 北島 > 3年くらい。行ったり来たりも含めるとトータルで10年近くですね。
あとは、他の国も見てみたくなって、タイやメキシコ、中国にも行ってみました。
環境的に一番いいのはアメリカですけど、安さと楽しさの面では、タイもかなりいいですね。
ただ、タイは楽しすぎてやる気がなくなっちゃう可能性があるので、やっぱりちゃんとやるならアメリカですね。
衝撃のスピード
<聞き手> やっぱり、アメリカのトレーニングは日本と違うんですか?
< 北島 > 全く違いますね。僕が一番驚いたのがリフティングスピード、つまりトレーニングする時の速さです。
日本だと、ゆっくり上げた方がいいと言われますよね。
だから、初めてトレーナーに習った時に、褒められようと思っていつも以上にゆっくり上げたんですよ。そうしたら、「そんなにゆっくり上げたら、誰でも上がるだろう!さぼるな!」って言われたんですよ。「えっー!?」ですよ!
アメリカでは、「ゆっくりやる=さぼる」で、速く上げる方が大変だという感覚なんですよね。
言われてみれば、筋肉を太くするのは速筋と言われる速い動きに反応する筋肉なので、速くやった方が筋肉が太くなって当たり前なんですけど。
なぜか日本ではゆっくりやるのが常識になっていて、僕もすっかりそれに浸かって、ゆっくりになっていたんです。
でも、そう言われて、目から鱗が落ちた感じでしたね。
「速筋なんだから、速くて当たり前だよな」と。一番衝撃的だったのは、速く上げないのはさぼり、ゆっくり上げるのはさぼり、だと言われたことですね。
あれには驚きました。
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