「自重トレーニングはスポーツ選手のような俊敏性やスポーツに活かせる筋肉が鍛えられるが、ウエイトトレーニングだとボディービルダーのように見せるためだけの動きの鈍い筋肉が付きそう・・・」
こんなことを言うのは、世界中で日本人だけだ。
この迷信をぶち壊す真実を伝えよう。
この記事の目次
違いは重さだけ
まず、自重トレーニングとウエイトトレーニングはまったく同じものと認識してほしい。
両方とも、重力を筋肉の負荷として使っていて、その負荷が自分の体重だけかバーベルかの差でしかない。
バーベルで重さを調整しているだけなのに、バーベルを担いだ瞬間に、筋肉の形が悪くなるような魔法にかかってしまうとでも言うのか。
非科学的な話を信じてウエイトトレーニングを毛嫌いする人もいるが、それではいつまでも筋肉は付かない。
なぜなら、トレーニングのレベルが上がるにつれて負荷を増やしていかないとトレーニング効果がなく、筋肉の成長は停滞してしまうからだ。
つまり、ウエイトトレーニングは自重トレーニングの発展形であり、上級版なのだ。
初心者はヒンズースクワットしか出来ないが、上級者はバーベルスクワットが出来るようになる。
腕立てが物足りなくなったらベンチプレスに切り替える。
いずれも重さの違いだけで、やることは一緒だ。
ウエイトトレーニングの起源は古代ギリシアで仔牛を担いで歩いたことが始まりだとされているが、いまは仔牛の代わりにバーベルを使っているに過ぎない。
短距離走選手の動き
ウエイトトレーニングで動きが鈍くなるなら、短距離走の選手がウエイトトレーニングをやっている理由が説明できない。
世界最速を競う選手は、トラック練習の他に、追い込んだウエイトトレーニングをガンガンやっている。
ウエイトトレーニングで動きが鈍くなるなら、ウエイトトレーニングをしなければもっと速く走れるはずだ。
だが、ウエイトトレーニングを止めることはない。
なぜなら、瞬発力に大事な速筋を鍛えるには、ウエイトトレーニングが欠かせないと知っているからだ。
短距離走の選手の体は、しばしば野生動物に例えられるほど美しい形状をしているが、その体はウエイトトレーニングで作り上げたものだ。
日本人の迷信がどれだけ事実から遠いものか分かってもらえるだろう。
指導者が悪い
確かに、日本人の中には、ウエイトトレーニングをすると動きが鈍くなる人がいる。
だがそれは、指導者が悪いからだ。
日本でウエイトトレーニングを教える人の中には、「バーベルをかかと体重でゆっくり上げろ」と言う人が多い。
速筋を鍛えるためにバーベルを上げているのに、ゆっくり動くよう指示を出すなど、本来ありえない。
ゆっくり動くことで、出力を瞬間的な出せない体になってしまう。
また、かかと体重にすると運動するときの体重バランスと違ってしまうので、運動に使わない筋肉を鍛えてしまうことになる。
さらに、運動しているときのポジションとは違うどっしりとした構えでやるので、動きに適さない体を作ってしまう。
これだけ間違ったことを教えられたら、習う側はたまったものではない。
指導者の質の悪さが、日本におけるウエイトトレーニングの不人気につながっていると言っても過言ではないだろう。
判断するための知識
では、どうすればウエイトトレーニングで俊敏に動けるカッコイイ体を作れるようになるのか。
それには、まず正しい知識が必要だ。
「指導者が間違ったことを教えるはずがない」という思い込みを一旦捨てて、何が正しいかを検証してみよう。
検証の方法は簡単だ。
実際に運動をするときと同じ筋肉を使って、同じ体重バランスとポジショニングでトレーニングが進むようなら、その方法は正しい。
習う側も指導者の良し悪しを判断できるだけの知識を持たないと、カッコイイ体にはなかなかたどり着けない。
<まとめ>
日本では、ウエイトトレーニングに関する誤解がまだまだ多い。
理想の体にならないのは、ウエイトトレーニングのせいではなく、間違った知識でトレーニングをするせいだ。
見せることだけが目的の鈍い筋肉を付けるために、日々追い込んだトレーニングをするボディービルダーなどいない。
こんな記事も読まれています